サイトがリニューアルしました

キャラクター

■超神ネイガーの世界

秋田県民の秋田県民による秋田県民のためのオリジナルヒーロー​創造計画とは

 2005年6月、“地元を守るだけのヒーロー”をコンセプトに、秋田に住まう若者たちで実行された「ネイガー・プロジェクト」によって創造された、数々のユニークなキャラクターの誕生とそれに関連する造型群、及び、世界観や行動記録を含む、地域発信の試行錯誤の物語です。

 2000年代前半。中央から地方に目が向けられるようになり「ゆるキャラ」といった地域発のマスコット・キャラクターたちが注目を浴びるようになった頃。当時はまだ、“ご当地ヒーロー”や“ローカル・ヒーロー”といった明確なジャンルは存在せず、“インディーズ・ヒーロー”や“自主制作キャラクター”などと称されていた時代。

 なぜ、雪深い東北の片隅でこのようなキャラクター(超神ネイガー)が生まれ、育てられ、そして認知されていったのか。

 このサイトでは、ネイガー・プロジェクトのスタッフが、記憶を辿りながら可能な範囲でそれらにまつわるエピソードを紹介していきます。


ブリコガン装備
​Buricho-gun
キリタンソード装備
​Kilitan-sword
​カマクラナックル装備
Kamakura-knuckle
意匠と由来

 日本海沿岸に広く伝わる来訪神「ナモミハギ(ナマハゲ)」の伝承をモチーフとした、秋田発・地産地消型のオリジナル・ヒーローです。

 角や牙があるために姿は「鬼」とよく似ていますが、実はナモミハギは鬼ではなく、年の変わり目の暮である大晦日(12月31日)や小正月(1月15日)に山から里へと降りて来て、人々の一年の怠惰を諌め、来たる新年に祝福を与え、作物の豊穣を約束し、大きな声と音で各家々の災禍を祓い去っていく『歳神(としがみ)様の使い』です。カミサマそのものではありませんが、「使徒(天使)」の一種といえばわかりやすいでしょうか。

 地域を守る土地神たちの加護と力を携えながら、地元住民のために登場する場所と時間(例えば大晦日)の「制約を超え」て人々のために参上する「神々の使い」たち。彼らの肩書が「超“人”」ではなく「超“神”」であるのはそれが理由です。

 名前(ネイガー)の由来は、ナモミハギの叫び声『泣ぐ子(ご)は“居ねがぁ!”』から。
 『おめだぢ!良い子で居れよ!いっつもマナグ(目)光らせで山の上から見でるがらな!悪ぃ事すればすぐ来るぞ!わがったが!』…だそうです。へばな。


攻撃技名・武器

・比内鶏クラッシュ
・男鹿ブリコショット
・横手豪雪パンチ
・鳥海キック
・王牙豪石(限界突破)

その他の装備・特徴

・出刃包丁型ショルダー
・カントウシールド
・両肩からなびくケデ
・背中に踊る米の文字
・拳に輝く「田」の文字
・ベルトに「ア」のマーク
・なまはげの目と牙と角

超神ネイガー
Chōjin NÉIGER

​ ナモミハギ(ナマハゲ)の能力を持つ超神。正体は秋田県在住の米農家の青年、アキタ・ケン(26歳・独身)。実家で農業をしながら、山菜採りが趣味のお婆さんと、飼い犬である秋田犬と一緒に暮らしている。

 農作業(田起こし)中に、農業機械に引っかかった謎の石「豪石(ごうしゃく)玉」によって、ヒーローとしての力を身につける。実は祖父もこのような能力を身に着けていたという。石を見つけて以来、夜な夜な枕元に立つナマハゲからの『…力が…欲しいか…?』の問いに素直に「はい」と答えて見込まれた。

 超神たちの中では最も武器と技のバリエーションが多く、兄貴分として慕われる。体力や筋力に恵まれつつ、また器用でもあり、両利きである。

 実際、様々な農機具の扱いに長けており、ネイガーに豪石した後も両手で武器を扱うことが多い。

 性格面は鷹揚で案外と抜けたところのある、いわゆる「おっちょこちょい」だがちゃんと締めるところは締める。

 『ホジナシ共!おらが相手だ! 海を!山を!秋田を守る! 超神ネイガー!』


攻撃技名・武器

・キリタンチャク
・クマゲラパンチ
・カモシカキック
・酔拳(我流)

​その他の装備・特徴

・師恩のひょうたん
・カモシカ2頭立てソリ
・松ぼっくりショルダー
・背中に「酒」の文字
・拳に「刃」の文字
・肘から生えた包丁的な何か
・ベルトに「ア」のマーク
・なまはげの目と牙と角
・よく『トゥルッフー(ヤッホー)』って言う※呂律に難あり

ネイガー・ジオン
NÉIGER GEON

 超神ネイガーを兄貴と仰ぐ弟分の超神。能力はネイガーと同じナモミハギ神。

 「ジオン」は弟を指す秋田弁「おんじ」のアナグラム。本人はその読みに「恩師(おんじ)」の文字を当てている。

 超神ネイガーが「田(里)の神」だとすれば、ジオンは「山(森)の神」に相当する。

 伐採作業中にチェーンソーに引っかかった謎の石「合酌(ごうしゃく)玉」により超神の力を身につけた。

 正体は林業に従事する青年、フジサト・シロー。自身の超神化に困惑しながらも超神ネイガー(アキタ・ケン)と出会ったことにより、ネイガーに懐き、勝手に自らを弟分と称して行動を共にする。

 半端のない酒豪であり、飲酒によってリミッターが外れる。我流酔拳の使い手であり、超神たちの中では最もスピードが早い。​山の暮らしに長けた老人を師匠と仰ぎ、サバイバルの知識を自然と身に着けた。ボーイスカウトまたはソロキャンプの天才。山の獣たちと意思疎通できる不思議な才能がある。

 『森の悲鳴を聞きつけりゃ、木霊の速さで駆けつける! ネイガー・ジオン!』


攻撃技名・武器

・細切れ/イカスライサー
・蛸殴り/タコナックル
・消波根固タックル

その他の装備・特徴

・錨型のベルト探知機
・魚型の携帯電話
・胸に「魚」の文字
・背中に錨のマーク
・拳に「波」の文字
・テト○ポッド型のショルダー
・頭が漁船※船外機付き
・すぐ『掛かって来え!』って言う※常に喧嘩口調

戦斗漁船 アラゲマル
Battleship Arage-Maru

 岩牡蠣漁の最中、深く潜りすぎて岩に挟まれ死を覚悟しながら、必死で掴んだ眼前に現れた謎の石「剛借(ごうしゃく)玉」に命を救われ、超神の能力を身につける。
 
 当初はネイガーの敵として現れる。地元では「漁協の狂犬」と称されるほどの暴れん坊の熱血漢。ダイオウイカと戦ったなどの様々な伝説を持つ。

 正体は、炎の漁師ハチモリ・リュウ。漁師としての腕は一流で、ギネス級の魚を釣り上げるなど、時々地元の新聞に載ったりもしている。

 超神能力はアラハバキ(道祖神・塞の神)であり、超神たちの中ではその名の如き要塞のような無類の守備力を誇る。

 漁船に準じた各種のセンサーを搭載しており、索敵から弾道距離に至るまでの計算を瞬時に行い、大砲を用いた遠距離攻撃が得意。また近距離防衛においては肩の消波ブロックが肉弾戦で効果を発揮する。筋力だけならばネイガーと互角かそれ以上。骨が折れようとも絶対に痛いとは言わない頑固者。

 超神ネイガーの仲間…というよりは、その来歴と由来が全く異なるライバル的な異神の存在であり、迫り来る外来の脅威に対しては何者に対しても『掛がって来ぇ!コノヤロウ!』と立ち向かうほど、防衛に対しては異常なまでのアグレッシブなスタンスを呈する。が、 実は妻帯者であり、妻には頭が上がらない。
 
 『天に満月、地に月見草、海に錦の大漁旗!炎の漁師アラゲマル!』


攻撃技名・武器

・イナニワリボン
・タツコツイスト
・ムーンサルトフットプレス​

その他の装備・特徴

・拳に「田」の文字
・両肩に羽衣
・額に龍のレリーフ
・よく見ると胸が「美」の字
・ベルトに煌めく「ア」のマーク
・ピュアハートの申し子

ネイガー・マイ
NÉIGER MAI

 超神ネイガーの妹分に相当。米穀店の看板娘アキタ・マイということだが正体は不明。アキタ・ケンの親戚筋ではないかと思われる。

 妹分とは言いながらも姉御肌であり、他の超神ら(上記の男性超神共)を統率・指揮する力がある。

 ネイガーを始めとする超神たちと同様に『ゴウシャク』の掛け声で変身することから、他の超神らと同じく「謎の石」の加護によって超神化すると思われるものの…石の起源や由来など、具体的なことは不明。

 ネイガーをはじめとする超神たちが、自らの仕事に熱心に立ち向かい、そこで課せられた”打ち砕くべき困難と試練”の象徴として、地元の神々から与えられた「石」をその能力の発動起源としていることから、彼女もまたこれに類するエピソードがあるものと推察される。

 彼女が持つ超神の能力は「横手かまくら」にも祀られている水神(=竜神)である。辰子姫伝説で語られる竜の力を宿しているものと思われる。両肩に纏う羽衣により相当の飛翔力を有しており空中戦が可能。超神たちの中では最もジャンプ力が高く、空中二段ジャンプや壁登りといった芸当も可能。得意技はムーンサルト・フットプレス。

 どこで覚えたか、器械体操および新体操とプロレスの素養があり、鞭のようなうどん状の武器「イナニワ・リボン」で相手を華麗に絡め取った後、プロレス技「タツコ・ツイスト」にて着実にカウントダウンに持っていく戦法を好む堅実派。​


超神たちは一体何と戦っているのか

 結論からすれば、秋田県民であるネイガーたちは秋田県民そのものと戦っています。

 ネイガーの力の源である「ナマハゲ」は鬼のように見えて実は神の使いとして、人々が「正しく生きる」ための厳しい教えを諭します。ときには声を張り上げ物音を立てて邪悪な気を払い除けます。そしてそこには理屈では理解し得ない苛烈な教訓を伴った「厳しさ」を感じることもあるでしょう。しかし憤怒の形相に見えるその面の内側には、怒りを超越した思いやりと優しさがあるのです。

 超神たちの変身の掛け声は「豪石!(ごうしゃく)」です(※それぞれの超神によって表記は異なる場合がありますが発音は一緒です)。

 秋田弁では叱ることを「ごしゃぐ」といいます。そこから転じた「ごうしゃく」の韻は、皆がより良く生きるための養育的で教訓的な響きを持ちます。私的な怒りをただ周囲にぶつけるわけではありません。必要であるからこそ叱る。叱る方にも痛みが伴います。その痛みに耐え続けられる者があるとすれば、それは我々人ではなく、まさに神の使いであるモノたちの役目であるのです。そしてそうあるべきなのです。

 そのようなモノたちが諌めるものの正体は……宇宙人でも怪獣でもありません。我々一人一人の心に生じ得る、あらゆる形で存在する内なる不正義であるのです。怠惰で傲慢で自己中心的で、雑でいい加減な「だじゃく」な者たち。そして、そうであることを良いとも悪いとも思わない思慮のない「ほじなし」たち。

 いつ我々が「ごしゃがれる」立場になるかもは分かりませんが、自身を律するための希望として、皆さんの心のなかに一人ひとりがヒーローを生み養っていただけたときに、超神ネイガたちーの役目は果たされるのです。

 清く正しく、当たり前でささやかな願いを。そのイメージをみなさんと共有するために生じせしめたこのキャラクターたちを、どうぞ暖かくお見守りください。


超神たちの敵:だじゃく組合の怪人たち
ハンカクセエ

稲作に害を成す「カメムシ」のホジナシ怪人。ホジーネたちのリーダーで、はんかくさい(くだらない・いやらしい・バカらしい)ことばかりする迷惑者。正体はアカヒゲホソミドリカスミカメ。赤い髭が自慢。屁が臭い。

バスコギ

明日の秋田をダメにする!を目標に掲げる悪の組織「だじゃく組合」の幹部。在来種を食べ尽くし生態系に害を成す外来魚「ブラックバス」のホジナシ怪人。大きな口で大口を叩き、二枚の舌で嘘をつく。腹の中は真っ黒。

ゴンボホリー

自分の思い通りにならないと駄々をこね続ける「カミキリムシ」の怪人。マツクイムシ被害で松の木を枯らすマツノザイセンチュウを身につけている。正体はマツノマダラカミキリ。都会派を気取って、秋田をバカにする

カマドキャシー(ジェンダーレス型)

かつて暮らしと財産の象徴であった調理器具「かまど」の火を消すため、ひっくり返しにくる貧乏神のようなホジナシ怪人。頭の「おかま」にはメッコマンマ(煮炊きに失敗した米)が入っており人に向かって投げつける。

カマドキャシ(パワー型)

カマドキャシーの初期型パワータイプ。普段はおとなしいが、一度あたまの「カマド」が外れると、そこらじゅうのものをひっくり返して大暴れする劇症型の貧乏神。巨大な頭で攻撃と防御を同時に行うため非常に手強い。

ホジーネ

悪の組織「だじゃく組合」の一般組合員。白い顔に「ホ」の字が描かれ、派手なパンツを履いていることが多い。正体や自我を意味する言葉「本地(ほんじ)」に乏しく、他のホジナシ怪人から子分のように扱われている

タグランケ

海中に漂うゴミや生物などを組み合わせて作られた「クラゲ」の怪人。左手のウツボで噛み付き、右手の触手から電気を放って攻撃する。身体がぶよぶよと柔らかいため打撃が効かない。正体は漁師の敵・エチゼンクラゲ。

ガジェーネ

ホジナシ怪人一般組合員「ホジーネ」の上位互換。顔に「ガ」の字が描かれている。「頑是(がんぜ)無い」の名前通り、是非の区別や分別がつかず、物の道理がよくわからない。聞き分けはないが、無邪気であどけない。

モジャーネ

ホジナシ怪人一般組合員「ホジーネ」の上位互換。顔に「モ」の字が描かれている。「文殊(もんじゅ)無い」の名前通り、思慮に欠きあまり物事をよく考えない。他人の言葉に耳を貸さず、思いつきや雰囲気で行動する。

メグセグネイガー

だじゃく組合が開発した、超神ネイガーに似せて作られたホジナシ怪人。ヒーローの登場を楽しみにしていた子どもたちの前に現れてがっかりさせる。見た目の悪さを意味する秋田弁「目臭い(めぐさい)」が名前の由来。

ボッコレタマグラ

壊れた農具・鎌から作られたホジナシ怪人。柄と刃を留める部品「玉座(たまくら)」が壊れているため、いつも頭と腕の刃先の方向がフラフラと定まらない。どこにでも首を突っ込み刺さっていくが、全く役に立たない。

クサレタマグラ

壊れた電動農具から作られたホジナシ怪人。ボッコレタマグラの発展型。強力なチェンソーは超神の武器を切り落とすほど強力だが、手入れをせず錆びており、頻繁にキックバックを起こして、あらぬ方向に刺さっていく。

モッタリマゲダリ(エイリアン型)

3メートル程の巨大な宇宙人のような姿をしたホジナシ怪人。だじゃく組合でもその正体はわからない。顔を回転させたり光らせたりしながら、物事の順番を変えたり、何度も同じ行為を繰り返させては相手を混乱させる。

モッタリマゲダリ(ヒューマン型)

事象を巻き戻したり反復させて埒の明かない状態を作り出す正体不明のホジナシ怪人。幼い子どもが砂場の砂を「盛ったり撒けたり」と繰り返して遊ぶように、何の進捗もない無駄な時間を発生させる不思議な能力を持つ。

エフリコギ

米びつの中など蓄えられた穀物に潜んで食い荒らす「コクゾウムシ」の怪人。甲虫類のため装甲が厚く打たれ強い。態度は尊大で常に周囲に対して格好をつけたがり、演技めいた不遜な言葉で相手を見下す。長い鼻が自慢。

ホイドタガレ

林業従事者にとっての迷惑者である「ヤマビル」と、山中に不法投棄されたゴミを寄せ集めて作られたホジナシ怪人。いつも腹を空かせており、身近にいる者に見境なく吸い付いては、活動エネルギーを吸い取ってしまう。